ラジウム温泉は放射線ホルミシスだった!

ホルミシスのメッカ、バドガシュタイン

放射線ホルミシス療法が臨床現場で注目されるようになったのは、ここ4、5年のことです。しかしこの療法は、はるか昔から世界各地で行われていました。

 グラビアでも紹介したオーストリア・バドガシュタインのハイルシュトレーン(治療用坑道)は、銀鉱山の廃坑を利用したラドン浴療法です。坑道内のラドン含有量は4万4000ベクレル(Bq/m³)、温度38~42度、湿度は70~100%にも達します。その治療効果はインスブルック大学とザルツブルグ大学の共同研究でも証明され、医療保険も適応されています。

 適応症としては、ベヒテレフ病(強直性脊椎炎)、慢性多発性関節炎(慢性関節リウマチ)、関節症、乾癬性関節炎、脊髄症候群、繊維筋痛症、骨粗鬆症、神経痛、末梢神経障害、スポーツによる怪我の治療、サルコドーシスなどの運動器官系障害、慢性気管支炎、気管支喘息、慢性副鼻腔炎、花粉症などの呼吸器系疾患、尋常性乾癬、神経皮膚炎、硬化症など多岐にわたります。オーストリアはもとより欧州各地から患者が押しかけ、放射線ホルミシス治療のメッカとなっています。

日本の代表的なラジウム温泉

 わが国でも、ラジウム温泉によるホルミシス療法が行われてきました。温泉法では、1キログラム中のラドンの含有量が100億分の20キューリー単位以上、あるいは1キログラム中のラジウム塩の含有量が1億分の1ミリグラム以上を放射能泉の基準としています。

 日本の代表的なラジウム温泉には玉川温泉(秋田)、三朝温泉(鳥取)、増富温泉(山梨)、奈女沢温泉(群馬)、湯の島温泉(岐阜)、栃尾又温泉(新潟)、関金温泉(鳥取)、栗本温泉(岐阜)などがあります。そして、これらのラジウム温泉の中でも最も有名な温泉が秋田県仙北市にある玉川温泉です。

玉川温泉

 温泉湧出量日本一を誇る玉川温泉は、特別天然記念物の北投石から発するラドンによる治療効果で古くから湯治場として知られてきた名湯です。その効用としては、リウマチ、高低血圧、高脂血症、動脈硬化、脊髄性、脳性小児麻痺、貧血症、白血球減少症、肝機能、皮膚病などの改善、免疫力や高筋力増強、疲労回復、若返り効果などが挙げられ、湯治客の足が途絶えることがありません。

 とりわけ、玉川温泉を訪れるがん患者をルポした毎日新聞の記事により、全国的に有名になりました。

 この玉川温泉に代表されるラジウム温泉で、放射線ホルミシス効果を持つラドン222を効果的に体内に取り入れるいくつかの方法があります。

 まず第一は「浴湯」です。玉川温泉では、ぬる湯、あつ湯、寝湯、かけ湯、打たせ湯などでラドンを含んだ温泉水を浴びることができます。しかし、実際にはラドンは皮膚を通して吸入することは少ないので、浴湯の中でラジウムが気化してこもっているラドン222の蒸気を吸入することでラドンを体内に取り入れます。

 また、玉川温泉では温泉内の岩場で「岩盤浴」を行うことができます。温泉の地熱を帯びた岩盤に寝転ぶことで温熱効果と同時にラドン222の吸入を行います。玉川温泉では、がん患者がテントの中に入ってラドンガスを吸入している姿を見ますが、これは理にかなっているといえます。

 この吸引と同様に、効果的にラドンを体内に吸収できる方法が「飲泉」です。玉川温泉の飲泉コーナーでは、備え付けのコップでラドンを含んだ温泉水を飲むことで、ラドンを消化器を通じて直接体内に取り込むことができます。飲泉は慢性消化器疾患、慢性気管支炎などの消化器性疾患、呼吸器系疾患に効果が大きいといわれます。

 所在地:秋田県仙北市田沢湖玉川字渋黒沢

 電話: 0187-58-3000(玉川温泉)


三朝温泉

 玉川温泉とともに、世界有数の濃度を持つラドン温泉として有名なのが鳥取県三朝町の三朝温泉です。景勝として知られる三徳山(みとくさん)の見下ろす山間にある同温泉の泉水は、ウラン鉱山で知られる人形峠の地下水が湧き出したもので、世界屈指といわれる高濃度ラジウムによる効能は古くから知られています。

 三朝温泉の泉質は無色透明、ラドン含有量は46.4マッヘ(過去に702マッヘという記録も)。効能としてはリウマチ性疾患、痛風、高血圧症、糖尿病、消化管疾患、動脈硬化症、喘息、アトピー、術後のリハビリなどが挙げられます。


 川嶋朗博士の調査による三朝温泉の空間放射線量

 野外・・・・・・0.5(μSv/h)

 露天風呂内・・・1.6(μSv/h)

 源泉付近・・・18(μSv/h)


 所在地:鳥取県東伯郡三朝町三朝

 電話:0858-43-0431(三朝温泉観光協会)

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