数々の実験で実証されたホルミシス効果

国内外で3000を超える研究論文で実証されたホルミシス効果

低線量放射線が生体に及ぼす作用のうち、特に重要なのは活性酸素の抑制効果です。

細胞内に運ばれた酸素から発生する活性酸素は、細胞や組織を傷つけるため、近年ではさまざまな病気や老化の原因となるということが明らかになっています。多くの研究成果から、低線量放射線には、この諸悪の根源とも言える活性酸素を抑制する効果があることがわかってきています。

活性酸素を抑制する酵素「SOD」の増加を促す

低線量放射線で活性酸素を抑制する酵素「SOD」が飛躍的に増加

X線全身照射によるラットの大脳皮質細胞の変化を調べたところ、活性酸素を抑制する酵素であるSOD(スーパーオキシド・ジムスターゼ)の飛躍的増加が見られた。実験ではさらに、細胞の新陳代謝を向上させる細胞膜流動性の増大、細胞膜透過性を妨げる過酸化脂質の減少なども確認される。

実験は、生後65週、91週の2種類のラットに対してなされたが、どちらの年齢においても数値の向上は明らかで、特に生後65週のラットについては生後7週の若いラットを凌ぐほどの高い効果が得られた。

電力中央研究所の山岡聖典氏(現岡山大学教授)による実験

低線量放射線による健康効果が長期間にわたって持続することが明らかに

低線量放射線によるSODの増加などの持続効果を調べる実験。大ネズミにX線250ミリシーベルトを照射したあとの細胞特性の時間的変化を調べた。

この実験の結果、照射後8週間にわたって細胞のSODの増加、細胞膜流動性の増大、過酸化脂質の減少などの効果が持続されることが確認され、低線量放射線による健康効果が長期間にわたって持続することが明らかになった。

電力中央研究所の山岡聖典氏(現岡山大学教授)による実験

活性酸素を抑制する酵素であるSODが増加すれば、DNAを損傷してさまざまな病気や老化の原因となる活性酸素を抑制することが可能になります。また、細胞膜の透過性が改善されれば、血液の運んでくる栄養分などが細胞の中により多く取り込まれ、また逆に、細胞の中で作られたタンパクや酵素などの物質やDNA修復活動によって発生した老廃物が細胞から送り出されやすくなるので、細胞の新陳代謝が高まります。さらに、加齢とともに低下する膜の透過性が改善されることで、細胞が若返る効果も期待できます。

マウスのX線全身照射実験で、活性酵素抑制酵素SODとGPxのレベルが1.5倍に増加

SODと共に活性酸素を抑制するGPx(グルタチオン・ペルオキシダーゼ)の活性についての実験。東京大学先端科学研究センターで行われたマウスのX線の全身照射実験では、SODとGPxのレベルが1.5倍に増加することが確認された。

山岡教授と二木鋭雄東京大学教授による実験

免疫活動やDNA修復の活性化を促し、悪玉物質を減少させる

免疫活動やDNA修復の活性化を促す各種ホルモンの飛躍的増加

山岡教授は、さらに、岡山大学の古元嘉昭教授らとともに、低線量放射線による活性化および鎮痛関係ホルモンの変化を調べるウサギに対するラドンの吸入実験を行っている。

この実験では、積極性をもたらすアドレナリン、鎮痛効果のあるメチオエンケファリン、血糖値をつかさどるインスリン、幸福感をもたらすベータエンドルフィンなどの各種ホルモンの飛躍的増加が確認され、これらのホルモンの増加が免疫活動やDNA修復の活性化を促していることが示唆されている。

岡山大学 山岡教授と古元教授による実験

三朝温泉の高ラドン室でSODの活性化や、悪玉コレステロール・過酸化脂質の減少を確認

通常の温熱室と比較した1週間のラドン吸入効果が調査され、SODの活性化や、血中の悪玉コレステロールや過酸化脂質の濃度が減少することが確認されている。

三朝温泉の高ラドン室で行われた実験

低線量放射線照射でがん抑制遺伝子が活性化

遺伝子に関する実験では、低線量放射線照射によるがん発生抑制遺伝子p53の活性化が見られました。ヒトの細胞においては、活性酸素などによって損傷されたDNAを修復酵素が修復した後、修復しきれなかった異常細胞のみをp53というがん抑制遺伝子がアポトーシス(自殺命令)というメカニズムによって破壊し、がんの発生を防止しています。

低線量放射線ががん抑制遺伝子p53の活性を促進

マウスやラットを用いて、0.1シーベルト、0.25シーベルト、0.5シーベルトの3種類のX線の全身照射実験を行った。実験の結果、副腎、肝臓、骨髄、腸、心臓などの臓器におけるp53の活性化が確認された。

この結果をみると、低線量放射線ががん抑制遺伝子p53の活性を促進することで、がん防止の作用を持っていることが考えられる。

奈良県立医科大学の大西武雄教授の実験

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